消えてゆく職業の周辺

仕事を失うということ(デザイナー戦力外通告)

02:ADになれば年収1千万円

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じゃあADになると何がどう変わるのか。
駆け出しの頃のAD像は、次のようなものだった。

●年収が上がる
●責任が増す(自分にたいする周囲の態度も評価も変わる)
●あまり手を動かさなくなる(実作業が基本的にない)
●やたらと外出が多くなり、打ち合わせの日々
●情報収集に躍起になり、不毛なカタカナ語を駆使する会話
●部下の育成
●部下の尻拭い
●売り上げに貢献(数字の計算、コスト管理等) 等
●よりいっそうのクライアントにたいする媚びへつらい
●デザイナーより、なんとなく響きがカッコいい

大体ボクが20代の頃のこの業界周辺がちょっとどうかしていたんだと思う。仕事が溢れ、ADで年収1000万クラスの人が周囲にゴロゴロいた。

自分もそうなれるんだと思っていた。先輩の仕事のいいところを盗んで、しっかり働けば、そんなのとても簡単なことさ。あと10年くらい仕事に励めば、必ずADになれる。ああ、10年とか言ってないで早いトコADにワープしたい。

それで実績を積んで業界の猛者になり、金が貯まったら青山の少しだけ奥まった閑静な場所で、古いマンションの一部屋を借りる。室内を小粋にカスタマイズして、個人事務所をやってみてえなあ。パイドパイパー・ハウス、ギャルリー・ワタリ、クレヨンハウス。

あの頃、無闇やたらに青山という土地に、屈折したステイタスを感じていた。仕事がタイトな時ほど、そんな甘い夢を頭の隅のスクリーンに投影して、モチベーションを上げ、気持ちを立て直す。当時の駆け出しGDは大体似たようなことをやっていたんじゃないかな。

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